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メイク美容室 (1)

2007/06/22(金)

息子 倒れて4年8か月。
体に不自由はないが、相変わらずの注意、記憶、遂行障害があり、まだまだ自立には程遠い。

リハビリの先生に話してみる。
「就業はとても無理でしょうから、ボランティアでも出来たら・・・」
「美容師免許があり、メイクが出来たんですねぇ・・・考えましょう・・・認知症の患者さんに化粧は良いんですよ・・・」

なによりのリハビリ、本人も「やります! やります!」 と大乗り気。早速お願いする。

さあ 大変! 何しろ学校と仕事で6年あまり経験があるといってもその後他の仕事につき、なんと18年のブランク!!

高齢者の肌には自信があるが、滅多に化粧しない私を相手に、
「これは化粧水のつもり」 とコップの水をペタペタ塗りながら、メイクの練習!! 
切羽詰って笑うどころではない。

メイクの段取り、化粧品、もろもろのブラシ類などの用意、先生と話し合いながら揃えていく。遂行障害のリハビリなのだろうが、こればかりは「まったく分からん」 の男の先生に息子が教えてる。

先週 第1回
認知症の患者さんが集まっておられる病棟の一室に、大きな鏡を入れて頂き、前に椅子、机に道具類を並べ、息子はメイク時代の黒いエプロンをつけ・・・(よくぞ残っていたことよ!)

いよいよ 『メイク美容室』 オープンだ?!!

「いらしゃいませ どうぞこちらにお掛け下さい」
ヒョイとのぞいた第1号のお客さん、びっくりしたように後下がりしながら
「あら メイクですか?? わたしダメー! 若いの連れてくる!
綺麗なの連れてくる?!」 と恐怖におののいて逃げてしまった・・・

「私72です」 と2号のお客さん、1,2本の白髪しかない見事な黒髪、皺のない若々しい顔にびっくり!!

手順をふんでのメイク作りに一所懸命の息子は、汗タラタラで余分な事は言えない。後見役の先生が
「きれいですよ? かわいく出来ましたよ?」 とこれまたフォローに一生懸命!! 
(ありがとうございます,,,,,私はただ四方八方に頭下げるだけ,,,,)

「私みたいなお鍋がお兄ちゃんに綺麗にしてもらって・・・払いたいけどお金がなくて・・・すみませんねぇ・・すみません・・」 
説明しても何回も謝られて・・・
決して上手いとはいえないが、それでも可愛い童顔のおばあちゃんに仕上がって、鏡見てにっこり。。。ヨカッタ??
結局この日は2人のお客様で終り。

1週おいて第2回
今回は3人、前回より余裕ができ、すこしリラックスしている。
「きれいな肌ですねぇ いやぁ かわいいですよ?」 などと営業言葉が出てきた。
眉の引きかた、タオルの掛け方など、少しずつ変わってきて、やはり体が覚えてるんだな?と。
先生 「高齢者の人だから、これから眉引きます、つぎ口紅塗ります、と言った方がいいですよ」
「はい わかりました?」 返事はいいが仕事に一生懸命ですぐ忘れる。

「出来ました? 鏡見て下さ?い」
「恥ずかしくて 見れないよ?」 照れ笑い。ほんと可愛らしい。
車椅子のお客様、90歳、化粧は何年もしたことないよーといいながら、艶やかな張りのある肌に呆れてしまう。

室を出られたとたん、「綺麗になって??」 声が聞こえる。
息子の事より我が身がダブって うれしくなる。。。

不安そうに入って来られても、帰りは笑顔で。 よかったあぁぁ?

先生はじめご協力いただいた看護師さん、おばあちゃんの皆様、
 ありがとうございました。
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