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弁当 おつかい

2008/09/16(火)

作業所とリハビリ病院に通ってる息子、土曜、日曜は休みになる。
私が所用で留守する時、簡単な丼物を作れるようにメモしておけば、あまり心配せずに出られるようになった。
「今度は自分で何を作るか、材料を買うところからやってみましょう」 とリハビリの先生。
あいにく近くに、一人で歩いて行けるスーパーも小売店もない。
あるのはコンビニとレストランばかり。掃いて捨てるほどある。

「じゃぁ 買い物練習。 お昼はお弁当にしようか? 好きなの二人分買ってきてくれる?」
「はーい メモ? いらんいらん!」 と元気がいい。

前はメモ見ながらだけど何回もやっているし、散歩の通り道だし、まあ大丈夫だろうと・・・

行くといったコンビニはほんの近くなのに、一時間たっても帰ってこない!
しびれ切らしてケイタイかける。

「今どこにいる?」
「○○食堂 かつ柳川定食たべてるとこ」
「えーっ 今何買いに出たのかなー?」
「わからん! わすれた!」 ・・・この二言が出たら、もうお手上げ! バンザイだ。
 メモを持たせなかった私が悪い!。 完全に私のミスだ。

おだやかに 「じゃぁ 私のお弁当かってきてくれる?」
「うん わかった」
やがてコンビニ弁当の上にプリンをのせて帰ってきた。
「プリンもあったらいいかなーと」 いいながら。

どうも交差点渡った先のコンビニは目に入らず、まっすぐ歩いて左側のレストランに入ったようだ。
どこで買うのか忘れても、なんか昼の食事だったとか、お腹が空いてるというという潜在的な意識は忘れないで、よく行くレストランに入ったということらしい。

材料買ってきて作って食べるのには程遠いが、すきっ腹対策は自分でできそうだ。
今はまずこれが第一歩。 少しずつ上を目指して行こう。

それにしてもプリンの追加とは、思いがけずうれしい!
自分が先に食べて悪かったなど、考える余裕はまだない。

病前のやさしい気持が、さわやかな秋風のように、戻ってきたような・・・・
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木工細工・蟷螂(とうろう)の斧

2008/01/06(日)

ちょうど2ヶ月ほど前、息子はリハビリ病院で、初めて木工細工をした。
筆立てのような簡単に出来る物だったが、楽しそうだったので100円ストアで探してみる。

合板に20?40のピースが入っており、手でくり抜き、互いの溝をはめこんで合わせ、組み立てていく、あれである。溝の接合部が30?50位ある。
一枚の説明書に、簡単に作り方と、ピースの図に小さく番号がふってある。
30位までの溝の番号を探して、接合するのは楽だが、40位になると探すだけでも結構、集中力がいる。1個のピースに3,4個の溝がある時は、出来上がりの写真を見て、方向など見当をつけなければならない。
息子にとっては、集中力、想像する遂行能力、何番までしたか、記憶力がいる。

第1作、『怪獣』・・・買ったことも忘れ、見ても これ何? とも やってみようとも言わない。
(買うときは手にとって、色々品選びしていたのに・・・)
「さぁ やってみようか?」 掛け声かけ、鉛筆で番号をチェックしながらやりだす。

ピースの溝をサンドペーパーかけて、溝の接合具合をみながら組み立てていく。
もちろん100円だから、きつかったり、ゆるすぎたりたりだが、デザインはとても良く、全体像が見えてくる頃には夢中で一生懸命。
「ヤッター できたー ばんざーい」

3作目、まだ私の掛け声がいるが、興味が出てきた。また買いに行く。
4作目、自分で 『かまきり』 がいいと選び、サアやると自分で机に広げている。
番号をチェックしながら組み立てている。
少し形が出来ると、番号をさがして合わせるより、面倒とばかり出来上がりの写真見ながら、見当で作っている。尻尾が反対。番号見てやりなおし。最後までノリノリで出来上がった。

私がなにげなく、「振りかざした前足は『蟷螂(とうろう)の斧』だね」 と。
「なになに なんの事?」 辞書を引き、自分から読む。
「そうか? かなわなくても強いヤツに向かっていくのか?」 などと。
前足をふりあげ、羽を広げ、眼をむいて相手を威嚇している姿は、緊迫感があり、品選びの時から思い入れがあったようだ。 
7作目『ライオン』 ねばっても出来ないようだ。穴の位置がどうも違う。結局接着剤で完成。
10作目『犀・さい』 最初は番号だったが、ピースの重ね方を写真見て殆んど仕上げる。

材料として、3枚張り合わせた薄いベニヤで出来ており、デザインは違っても、組み立て方は一緒。息子としては、番号あわせて(理屈考えて)作るより、今まで記憶に入った、慣れた作り方で作り上げたようだ。1回の短期記憶では全く入らず、何回も学習してその経験が、忘れにくいエピソード記憶となるまで頑張らなければ・・・まわりは我慢我慢!!

正月5日  買い物がてら100円ショップに寄る。まだ作ってないのがあったと、1枚買う。
自分で選らんで。  帰ると早速 作ってもいい? 
黙っていても夕食手伝うのに知らん顔。 やがて20分位で仕上げ、
「サメだ? 楽しかった!! 充実してたわ?!!」 喜色満面。 初めてだ。こんなに自分の感情で、言葉でよろこんだのは・・・ びっくり。

いままで夢の夢だった、好奇心、意欲、完成までの持続力、そして達成感。遠くの遠くに少し見えてきた。 
さあ 休みも今日まで。 明日からまた先へいこう。

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老いとメイク

2007/09/29(土)

メイク美容室 5回目

息子のリハビリにと、認知症の入院患者さんにメイクをさせていただいている。
短い時間だがいろいろと考えさせられる。

もう90歳も過ぎておられるような車椅子のお客さん。
脚はまったく歩かれない様子だが、言葉もほとんど声にはならず、わずかにうなづかれるか、何か言いたそうに口を動かされる程度。

もちろん 付いておられる看護師さんの助言介添えがあって、メイクに取りかかる。乳液つけ下地を作り、チーク(頬紅)をぬり、
「眉を引きますね?」 「口紅をぬりますね?」 問いかけてもほとんど反応はない。
髪をちょっとブラシして出来上がり。

「終わりましたけど、どうでしょうか??」
前の大鏡を見て唇が物言いたそうに、もぞもぞと動いている。
「ウム?? なんだろう? 眉かな? 唇かな?」
まわりでアレコレ問いかけるが、はっきり分からない。
色をいろいろお見せしても分からない。

「口紅をちょっと明るい色につけてみましょうか?」 
「これで どうでしょうか?」 じっと鏡を見てやっと少しうなづかれる。
気に入ったのか、これで仕方がないと思われたのか分からないが、表情がなくても、真剣に一生懸命鏡を見て考えられたのは分かる。

スッピンで平気で過ごす私には、ちょっと感動だった。
気の張る人と会う時だけやっと化粧する私。年取って手足が不自由、人まかせの生活の中で、メイクにあれだけの関心が持てるかな??
メイクには興味がありません・・としても人生晩年に、あれだけの緊張感を持てるものがあるかな?・・・たとえほんの一瞬にしても・・・?

人間終りにあまり物事に執着しないようにとも思うが、諦めて、悟りきって?枯れてしまうのもな?? 

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メイク美容室 (3)

2007/08/12(日)

先日『メイク美容室』4回目

室に入った途端、ずらりと待っておられ、びっくり。
結局7人のお客様、1時間半。2回目の方もおられ、うれしい?・・・
休憩無しだったが、その方がよっかたようで、集中力切れることなく無事終了。

「私が化粧したらお化けだから、化粧水だけにして。90だからねぇ?」 と何回もおしゃっる車椅子のお客さん。
「ハイ お化けになりそうだったら直ぐなおしますから、安心して!」 と私。もちろん最後まで 完成。

「もったいないね?、ありがたいねぇ? いいようにしてください」
のお客さん、だんだん熱が入り、
「眉をもっとあげて! もうちょっと長く! いや左が短い!」
毛のない所にかくので、やり直しするとますますファンデーションが剥げてきて描きにくく、四苦八苦。
お客さんもこちらも話しやすい雰囲気で、なごやか・・・

今回のリハビリでの反省点。
高齢者の方は、だんだんと左右のバランスがよくないようで、毛筋にそって眉を描くと、とんでもない方向になる。
「うすめの色で、ぼんやりとやわらかく描いた方がいいんじゃない?」
 と女のリハの先生。なるほど!
口紅も描いたつもりが唇うすく、口閉められるとほとんど見えなくなる。もうすこし大きめに・・・
最後に髪をブラシすると「スプレーして下さい」
「あー 今度は用意してきます。ごめんなさい」
「さあ 出来上がり ハイ ピース!」 看護師さんカメラでパチリ。
「一緒に入りましょうか ハイ パチリ!」 自分から言ってる息子。

1回目のメイク後、
「少しは(良い方に)変わりましたか??」 と態度を見ておられた先生、
「自分から言って、働きかけることが出来るようになりましたねー」  と。

たしかに会話の反応が早くなり、少しづつ言葉がつながってきた。
2年位前、お腹が空いているのに言葉が見つからず、いらいらして右手の指先をグルグル回しながら、
「・・台所に・・・デビューして?」 と言っていたのに。

早起きなので朝食当番の息子が
「おはようー  ご飯!  起きて!!」 と言っていたが 先日は、
「眼を開けているんなら、はよ起きてよー! 朝ごはんだよー」 

「眼を開けている」 と「起きろ!」の言葉がつながるのに、4年10ヶ月かかったことになる。

日記帳には、漢字の項目や単語は書けても、間をつなぐ平仮名がなかなか出てこない。
その時に口で説明ができても、文章をつないで説明することができない。
書字は一番最後になるとか、メモもとても難しい!!

でも人の言葉を理解し、にこにこ表情つけて会話が出来るようになるとは、夢のようだ。 
人にも物にも感謝感謝 ありがとうございます。

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メイク美容室 (2)

2007/08/03(金)

今週のリハビリは3回目の美容室。
2回目が終わった時
「もし美容室に名前つけるのだったら、なんて名前?」
「ケセラン パソラン!!」
「? なんの意味? ケセラセラかな?」
「わからん じゃあ 美の殿堂!! これもな??」
  ハッハッハーッ  笑ってチョン!

定刻前に行ったのにもう一人、待っておられる。
すぐ用意して「どうぞ こちらに」
「私は後からします。今はちょっと見学です」
「?」 なんかちょっと手強そうだ。 60代?

一人目のお客様、年配の方で、口は何か言いたそうに動いてはいるのだが・・・  リハビリの先生
「○○さん いかがですか?」 なるほど ゆっくり大きな声で。
こちらもゆっくり、あちらの言葉が声になるまでゆっくり待つ。
「地味に 地味にして・・」
「チーク(頬紅)します」 「いや いや」 と。
少し地味めだが、ご機嫌なおった様子。 ホッ。。。

待っておられたお客、横でじっと見ておられたが
すぐ椅子に座られ、(ヤレヤレ ありがたい)
「アイシャドウは?」
「いつも入れていたからして下さい」
おしゃれな方だったのだろうな?と思わせるきれいな顔立ち。

出来上がり、「いかがですか?」
「もう少し鼻筋を高く見えるように・・」
オッ ご注文!

うちでの練習で、とてもすることないだろうと思うのに
「鼻のシャドウは、こうするんだ」 と息子、私に教えていたのに
いざこの場面では違ったブラシを持ってウロウロする。
「この濃いファンデーション使う?」と私。(聞いといてよかった)
なんとか取り繕い出来上がり。 

とってもきれいだ?!!
周りからの言葉にやっとにっこりしていただく。

回をおうごとに条件がきびしくなっていくー!
考えてみれば、こちらがリハビリ中などとは、お客様には関係ないわけで。
とくに見た目も五体満足。ニコニコ笑って会話してるとなれば、ここに入院中の方には、一般の方と見分けがつかないだろう。

手を動かし、話をし、それを頭で考え、終わったと思ったのに注文が出た。、手はずが狂い、ついに分からなくなり他のブラシを握っている・・。見た目には ちょっとウロウロしてるな?位のことだが、自宅ならとうに「わから?ん できーん」 と泣き言をいってパニくってる状態だ。

それでも記憶障害のありがたさ、こまかい事はさっぱり忘れて、
「楽しかったー またやるやる!」 と。

リハビリの先生
「今度から少し人数を増やして、持続力の方をやっていきましょう」

やっぱり分かって見ておられる、よろしくお願いしまーす。

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